「ダークナイト」深く、激しく、IMAX フレンドリーに

2005 年、映画監督のクリストファー・ノーラン (「メメント」(2000 年)、「インソムニア」(2002年)など) は、大胆で現実的な「バットマン ビギンズ」により、バットマン・シリーズにとげとげしく新しいひねりを加えました。彼の最新バットマン映画、「ダークナイト(The Dark Knight)」も同様に暗くて内省的なトーンです。複雑で奥の深いバットマン役のクリスチャン・ベールを主演に、恐れを知らない不吉な演技の"ジョーカー"役でヒース・レジャー(2008年1月22日没)が出演し、既に死後のアカデミー賞を受賞かという話題も出ています。

「これは濃厚で複雑な物語です。我々は、「バットマン ビギンズ」よりさらに深く、より暗く作りこんでいます」と、エディターのリー・スミス(A.C.E.) は言います。「人々は、本当に楽しいけれど激しい経験をするでしょう。」

スミスは、たびたびノーラン(「バットマン ビギンズ」、「プレステージ」など)と仕事をしています。監督のノーランは、スミスが適当な素材を探し出すための時間を十分に与えてくれるので、監督との会話を楽しんでいます。「複数の機会で同じ監督と仕事をすることは素晴らしいことです。簡単な会話で意思が通じあうので、作業も早く合理的に進められます」と、彼は説明します。

ただでさえ複雑なこの映画において、それはとても良いことでした。そして、ポスト・チームは従来型の映画をリリースしただけでなく、同時に IMAX 65mm で撮影した 4 つのアクションシーンを含む IMAX 映画を作成しました。「オリジナルの IMAX 映像の品質は衝撃的です」と、スミスは語っています。「それらのシーケンスが映画全体に高揚感をもたらしています。」

ショット毎に IMAX のシーケンスが従来型の 35mm プリントにスケールダウンされているので、映画の2つのバージョンは実質的に同一です。当初は IMAX 映画プリントの 2 つの異なる縦横比が問題になっていたので、スミスと彼のスタッフは、1.44:1と2.35:1の両方の比率を収められる編集のワークフローをテストしました。彼らは、単一の Avid タイムラインを使用して両方の映画を編集できるように、Avid デジタル編集セットアップを選びました。クリエイティブ・カットは、2.88テラバイトのストレージを備えた Avid Unity MediaNetwork 共有ストレージ・ソリューションに接続した 8 台の Avid Media Composer システムを使って、14:1 の解像度で行なわれました。

様々なソース・クリップと視覚効果トラックを使って、編集チームは当初は16本のビデオトラックを用意しました。しかし、そのプロセスは、すぐに扱いにくくなりました。そこで、第一アシスタント・エディターのジョン・リーは、Avidタイムラインの素材をコンソリデートし色分けする方法を考え、IMAX のスクリーニング素材には V4トラック、シネマスコープのスクリーニング素材には V8 トラックを使うことにしました。「2 つのビジョン・トラックを選ぶことができて、両方の間で行ったり来たりできたようになったとき、プロセス全体が信じられないほどシームレスになりました」と、スミスは語っています。

「濃厚で複雑な物語です。 我々は「バットマン ビギンズ」よりさらに深く、より暗く作りこんでいます。」 (リー・スミス、「ダークナイト」エディター)

互換性のある編集システム
旅の多い多忙なスケジュールが、15ヶ月の編集プロセスにさらなる複雑さを加えました。編集チームは、ロサンゼルスで作業を始め、ロンドンやシカゴに移動し、またロンドンやロサンゼルスに戻るという具合でした。「セットアップの間に休む暇はありませんでした」と、リーは言います。 「木曜に飛び立ち、金曜には戻って作業でした。」

彼らはそれぞれの場所で同じAvid Unity MediaNetworkシステムを使い、FireWire ドライブのバックアップを使いながら、それを一日か二日前に次の編集場所へ送りました。米国のDigital Vortechs や英国のSalon によって、異なる編集場所に互換性のあるAvid Media Composer システムがセットアップされ、必要に応じて迅速かつ簡単にAvid Unityネットワークに接続できました。

様々なAvidシステムの間で簡単に相互運用できるので、ディレクターはオフサイトでも創造性を保ちながら作業を続けられました。ロンドンでは、エディターは平日に町の外にある編集場所でフィルムをカットし、週末にディレクターと彼の自宅で一緒に作業をしました。 「クリスの自宅はロンドンの中心にあったので、週末に我々は素材を FireWire のドライブに置いて Avid (Xpress Pro システム) でカット作業を行い、変更を持ち帰って (Avid) Unity に戻したのです」とリーは言います。

編集チームも、最後の変更のための参照用として、ロサンゼルスのワーナー・ブラザーズのサウンド・ミックス・ステージにセットアップされたAvid Xpress Pro を使いました。 「その時点では編集はかなり終了していましたが、まだ依然として作業している視覚効果のシーケンスが残っていました。しかし、我々はすぐにそれらを見ることができました」と、リーは語ります。

Avid セットアップのメディア管理機能は、およそ 1,500 にも及ぶ視覚効果ショットを取り扱うのに必須でした。そのうちの約 500 ショットが、IMAX 素材から 35mm プリントへの再構成でした。 IMAX のネガは大きな四角い画像だったので、スミスは従来型のフィルムプリントに取り込むために、それらのショットの一部を切り出さなければなりませんでした。

「我々は、それらを視覚効果のように見なければなりませんでした」と、スミスは言います。「我々は ピクチャー・イン・ピクチャーを Avid (システム) のカメラ・オペレータのように使い、IMAX ショットを従来型のシネマにフィットするように再構成しました。 私の視覚効果エディターであったトム・バレットが (ピクチャー・イン・ピクチャーの) テンプレートを作成してくれたので、それがショットへの投入、切り出し、視覚効果部門への送信を簡単にしてくれました。 」

ディレクターも、編集チームが「バットマン ビギンズ」を参照用にオンラインにしておくよう要求したので、最初の映画も同様に Avid Unity システムにロードされました。「本当に便利になりました」と、リーは言います。「我々は「バットマン ビギンズ」でもシカゴやロンドンで撮影をしたので、同じ空中プレートまたはカーチェイスプレートのいくつかを使うことができました。それまでにそれらの場面を撮影していなかった場合、臨時の素材として本当に役に立ちました。我々はまた、臨時シーケンスに一部の音響効果や多くの音楽も使いました。作業の後半にはこれらのデータはUnityから削除するつもりでしたが、結局最後まで使用し続けました。したがって、我々は基本的に (Avid) Unity に 2つの作品を取り込んだのです。」

スミスは何年もAvid システムを使ってきており、このシステムを複数のフィルム(とフィルムのバージョン)を一度に作業できる信頼できる装置と評価しています。「我々は、可能な限り失敗の恐れのない技術を保つように努めています。これらの映画は本当に複雑です。我々はこのような複雑な作業を、まるで鼻歌混じりにこなせるような機材を必要としているのです」と、彼は言います。

その心の平和が、映画製作チームに可能な限り最高の映画を作成することに集中できる、より多くの時間を与えています。そして、「ダークナイト」では、それらが今にも飛び立とうとしているバットマンを産み出したのです。

「オリジナルの IMAX 映像の品質は衝撃的です。 それらのシーケンスが映画全体に高揚感を与えています。」
(リー・スミス、エディター、「ダークナイト」)


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